Advance Sports & Rehabilitationアスリートの明日へ踏み出すチカラになる。
使える時間は全部、野球に使っているという自負がある。
だから何があっても「あの時、こうしておけば…」と後悔することはない。

プロ野球選手

大谷翔平

MLBの2018年シーズン、1995年の野茂英雄選手(ドジャース)、2000年の佐々木主浩選手(マリナーズ)、2001年のイチロー選手(マリナーズ)に次いで、日本人としては4人目、実に17年ぶりとなるアメリカンリーグ最優秀新人選手賞を獲得したロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。ベーブ・ルース以来99年ぶりとされる本格的な二刀流への挑戦は、日本だけでなくアメリカのベースボールファンも大いに沸かせた。

大谷翔平
写真=大野勲男・奥富義昭 インタビュー・文=石川遍 2018/12/04

コンディショニングへのこだわりは、一流の証。

大谷選手といえば、肩甲骨周囲が柔らかく可動域が広いことで有名だ。また、身体を常にベストの状態に保つためにコンディショニングやセルフケアをとても大事にしている選手としても知られている。例えば、毎朝、首周りを温めて柔らかくするのは、日本でプレイしていた頃からの習慣だそうだ。
「今は、自宅で超音波を使って温めています。自分が持っているものは持ち運びもできるタイプなので、たまにチームのトレーナールームなどでも使っていました」

大谷選手によれば、チームメイトから愛用している治療器について聞かれることもあるという。
「ファイターズにいた時も、チームメイトとコンディショニングに関する情報交換をしたり、ときには自分が気に入った治療器を紹介したりしていましたが、やはりメジャーでもセルフケアを大事にしている選手は多いですね」

メジャー1年目のシーズンを終えた大谷選手に、アメリカと日本でコンディショニングやセルフケアの考え方などに違いはあるのか聞いてみた。
「ファイターズは、日本の球団の中ではアメリカ式練習を比較的多く取り入れているチームでした。だからコンディショニングに関する考え方もあまり違いはなく、メジャーに行ってからも戸惑いを覚えるようなことはありませんでした。しいて言えば、向こうはスプリント重視のトレーニングが多いかも。『有酸素運動はダラダラやらずに、高負荷をかけて20分くらいでやってくれ。そうすると回復が早いから』といったことは常々言われていましたね」
ふと下半身に目をやると、一昨年の秋季キャンプのときに比べて一回り大きくなっているように思えたので、「その影響ですか?」と尋ねてみた。
「これは筋トレの方法を変えたからかな。日本にいたときは、1RM(RMは反復可能な最大重量)を100%として、70〜80%の重さを10回あげていたのですが、昨年は95%のものを3回あげるようにしてみたんです。このやり方が自分の身体に良いのか悪いのかは、まだ答えが出ていないんですが…。ただ、昨年はこんな具合に、いつもより新しいことをいろいろ試した年だった気がします」

冷えて筋肉が固まりやすい冬は、
広範囲に温まるラジオ波がありがたい。

コンディショニングをただ大事にするだけでなく、常に高みを目指す。気になる方法があればまずは試してみる。こうした姿勢こそが、大谷選手を大谷選手たらしめているのだろう。
「あと、違いといえば、全部じゃないですけど、メジャーの球場のマウンドは日本と比較して硬いところが多いんです。札幌ドームも硬い方でしたが、全然それ以上。刺さったらもう動かなくて、微調整ができない。日本のマウンドであればどういう角度でついても動かせばいいんだけど、向こうのマウンドでは、一度、間違った角度でついてしまうと腰が回らない状態で投げないといけないので、負担は大きくなります。そういう意味では、メジャーに行ってからより一層コンディショニングには力を入れるようになったかもしれません」
ちなみにシーズン当初は遠征に行くとまだ雪が降っていることもあり、そんなときはセラピストにラジオ波温熱で温めながら揉みほぐしてもらっていたそうだ。
「やっぱり、固まった状態からいきなり身体を動かすのは怖いですからね。特に自分は昔から、ハムストリングの肉離れを起こしやすいので結構、気をつけていました」
大谷選手によると、特に寒い時期は、より広い範囲の筋肉が温められていく感覚があることから、ラジオ波温熱を好んで使っていたという。

最後は、新人王まで獲得して有終の美を飾った大谷選手だったが、開幕二カ月後には大きな試練も待っていた。右肘の内側側副靭帯損傷のため故障者リスト(DL)入り。メディアやファンの間でも心配の声が多数あがっていたが、本人は当時、どのようなことを考えていたのだろうか。
「靭帯が傷ついていると診断された時は、もちろん落ち込みました。でもこうした怪我は速球派のピッチャーには必ずついてまわる問題。そして何よりも自分は、使える時間は全部、野球に使っているという自負があります。だから実際に落ち込んだのは正直一週間くらいかな。周りはいろいろ言っていましたが、自分としては『あのとき、こうしておけば良かった』などという後悔の気持ちも全然なかったです。怪我してしまったのだから、あとは良くなるようにまた努力する。それだけです」
大谷選手の頭の中は本当にいつも野球や自身の身体のことでいっぱいなのだろう。
「もちろんたまには友人とご飯だって食べに行きますよ。そうやって抜くときは抜かないと、本当に集中したいときにできないから…」と話してくれたのはストイックすぎる印象を与えないためのフォローだったかもしれないが、これも主目的は「リフレッシュ」ではなくおそらく「集中」の方だろう。

一番欲しいのは仙豆です(笑)
あの豆さえあったら万事解決ですよね。

そんな大谷選手に、「もし、こんな治療器があったら嬉しい」と思うものがあれば教えてくださいと質問を投げかけてみたところ、いたずらっぽい笑顔とともにこんな答えが返ってきた。
「カリン様の仙豆が欲しいです。あんなのものが本当にあったら何でも万事解決でしょ? まあ、そもそも治療器ではないですけど(笑)」
ちなみに仙豆(せんず)とは、1984年から1995年にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた大人気漫画『ドラゴンボール』に登場する、高い回復作用を持った特殊な豆のことである。そういえば漫画の登場人物たちは、想像を絶する厳しい修行をした後に、仙豆を一粒食べてすぐに体を回復させ、めきめきと成長を遂げていた。怪我から復活を遂げた後の大谷選手も、きっと、とんでもなくパワーアップして、私たちの前に再び姿を見せてくれることだろう。

プロ野球選手

大谷翔平

(おおたに しょうへい)

1994年7月5日生まれ。岩手県出身。身長193cm。
右投げ/左打ち。背番号17。
プロ野球史上でも稀な投手、野手を両立する「二刀流」選手で、球速165km/hのNPB最高投球記録保持者。※
花巻東高-北海道日本ハムファイターズ-ロサンゼルス・エンゼルス
【MLBでの獲得タイトル】※
・週間MVP(2回)
・ルーキー・オブ・ザ・マンス(2回)
・新人王(2018年)
※2019年2月現在

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