2020 総合カタログ
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2016年リオ五輪男子400mリレーの銀メダリストで、2020年東京五輪では、リレーでのメダル獲得とともに、男子100mでのファイナル進出も期待されている桐生祥秀選手。そんな桐生選手が現在、コーチの土江寛裕氏、小島茂之氏とともに全幅の信頼を置いているのが、“チーム桐生”の専属トレーナーを務める後藤勤氏だ。0.01秒を争う舞台で勝利を手にするために、彼らはどのようなことを考えながら身体づくりに取り組んでいるのか。日本が誇るスプリンター桐生祥秀の強さの秘密に迫る。「もともと、他の人と比べるのはあまり好きではないんです」そう話す桐生選手。高校生の頃は、ウサイン・ボルトのレース映像を見たり、マイケル・ロジャースのスタートを真似するようなこともあったそうだが、大学に入って以降、スプリンターとして誰かを参考にするということはまったくなくなったという。「身長や体重が違うし、もし似ていたとしても所詮は他人。自分の身体とはやっぱり異なるので、どんなに優れた選手だろうとトレーニングのやり方は真似をしても意味がないと思うようになりました。一番速く走れるんだったらどんなトレーニングだって、それが自分にとっての正解。今はそのように考えています」そんな桐生選手がこれまでずっと変わらず大事にしてきた練習が、走り込みだ。今回、訪問した際の公開練習でも、高校時代から続けているという坂道ダッシュを何本も繰り返していた。「根性練習と言われたりもしますが、やっぱり走り込みは大事。走り込みができなくなったら自分は引退を考えると思います。最近、中学生や高校生のアスリートで、トップ選手が取り組んでいるスピード練習の動画などを見て、それだけを真似している子たちがいるようですが、早いうちからスパイクがどうだとか接地がどうだと話しているのを聞いていると、ちょっと考えすぎだし、そんな風にスピードだけを求めても結局身体が壊れてしまうよと言いたくなります。それにトップ選1995年12月15日生まれ。滋賀県彦根市出身。中学校で陸上競技を始め、高校3年時には当時のジュニア世界記録に並ぶ、10秒01をマーク。東洋大学入学後は各大会で活躍、リオ五輪に出場し、男子4×100mリレーでは決勝でアジア記録を更新し銀メダルを獲得。2017年には世界陸上4×100mリレーで銅メダルを獲得。9月の日本学生選手権100m決勝にて、日本選手初の9秒台となる9秒98の日本新記録を樹立した。陸上競技 短距離選手|日本生命桐きりゅう生 祥よし秀ひで 選手“自分と同じ人間なんてどこにもいない。 だから自分が正しいと思ったことだけをやるUser Report VOL.3”18

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