お役立ち情報

筋電図の臨床応用 (3)筋電図バイオフィードバック治療

(3)筋電図バイオフィードバック治療

表面筋電図の治療への応用は、筋電図バイオフィードバック治療です。これは感覚では理解しにくい筋活動を表面筋電図により導出し、視覚的情報(図やグラフ)や聴覚的情報(音)に変換し、患者にわかりやすい状態でフィードバックする治療法です。これにより筋活動のコントロールが容易で、治療効果の向上が期待できます(図1)。

臨床における筋電図バイオフィードバック治療は、筋活動の促通(筋活動を高める)や抑制(筋活動を弱める:弛緩)を目的に多くの疾患で用いられています(表1)。

ノラクソン社製クリニカルDTSフィードバックセットは、完全無線式のEMGプローブに加え、タブレットを用いてバイオフィードバック治療ができるなど、臨床で使いやすいように設計されています(図2)。
一般的な筋電図バイオフィードバック画面は、筋活動の大小を棒グラフに変換するものです。筋活動が増加すると棒グラフは高くなります。閾値を設定することも可能で、閾値の上下で任意に音を出すこともできます。通常、視覚的情報によりコントロールできる筋活動は2チャンネルまででしょう(図3)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図4はクリニカルDTSフィードバックセットのフィードバック画面の種類です。

筋活動が増加するとバーが高く、減少すると低くなり、単純に筋活動を促通または抑制するのにわかりやすい方法であるバーグラフ表示、縦軸を振幅、横軸を時間軸として筋活動を連続的にコントロールするのに適した波形表示などが選択できます。

 

また、腹横筋のような深部筋は超音波装置を用いてフィードバックを行います。
図5は脊柱のスタビリゼーションエクササイズの1例です。目的は、アウターマッスルである腹直筋、外腹斜筋は筋活動を抑制し、内腹斜筋下部や腹横筋の筋活動を促通することです。アウターマッスルと内腹斜筋は表面筋電図で、腹横筋は超音波を用いてコントロールします。一度に促通と抑制の2条件をエクササイズすることが困難な場合は1条件ずつ行い、上手になったら2条件のエクササイズに移行します。

神経-筋骨格系の障害により生じる筋活動の異常は、明らかに正常と異なっていても、その障害に対して合目的に筋活動を調整している可能性があります。筋力低下などに見られる理解しやすい病態は別として、筋活動が正常と比べて高いからと言ってすぐ抑制させると、その動作自体に不都合が起こることが考えられます。なぜ、筋活動が異常になっているか十分に考察して、その原因を改善するリハビリテーションを行うことで筋活動は正常に近づきます。筋活動以外に問題がなければ筋電図バイオフィードバック治療を積極的に進めます。

関連製品

ウルティウム フィードバックセットEM-U810BF

ウルティウム フィードバックセット

場所を選ばず、簡便に筋電図バイオフィードバックトレーニングが可能。

■設定した閾値を視覚・聴覚で意識しながら、筋電図バイオフィードバックトレーニングができる筋電計(2ch)とタブレット(専用アプリ 「ウルティウム フィードバック」インストール済み)のセットです。

■筋活動を促通または抑制するのに分かりやすいバーグラフ表示、筋活動を連続的にコントロールするのに適したRMS波形表示など3つのモードを任意に切り替えて表示可能です。

■世界30カ国以上の有名大学、研究機関、医療機関への納入実績があり、さまざまなフィールドで活用されています。日本では1000台以上のシステムが利用されています。