浴室づくりのポイント

入浴装置を導入する際の浴室づくりのポイント

医療福祉施設の浴室を考える場合、入浴者の身体機能レベルごとに入浴方法の違いがあり、浴室・洗い場・脱衣室の工夫も異なります。今回は、入浴装置の全タイプに共通する浴室づくりのポイントをご紹介いたします。

1 介助スペースの確保

洗身スペースなど介助者が歩き回るエリアは、浴槽やストレッチャーのある状態で60cm 以上スペースが確保できると余裕を持って介助が行えます。浴槽周りの介助スペースは、最低でも40cm確保できれば横向きで介助を行うことができます。

2 移乗スペースや動線に配慮

脱衣室の必要スペースを検討する際は、「居室からの搬送方法」や「移乗を行う場所」までトータルに考えておくことが重要です。移乗の際は、ストレッチャーや車椅子の周りで介助するためのスペースが必要です。また、ストレッチャーや車椅子がぶつからないよう、通り道から障害物をなくすなどの配慮が必要です。

入浴者・介助者のための快適な環境

  • 3 空調設備・換気

    浴室(脱衣室)は、広い空間になりがちなため、空調設備には配慮しましょう。冬場は入浴者のための暖房で寒暖差を少なくして、ヒートショックを防ぎます。夏場は、入浴介助を行う介助者の蒸し暑さを和らげます。湿気がこもるため換気にも配慮しましょう。窓を設けることができれば、入浴後に空気の入れ替えが行えます。外の光を取り込めるため、開放感も生まれます。

  • 4 壁面に予備のシャワー・散水栓

    入浴装置にはシャワーが付属していますが、浴槽以外の場所でも洗身介助を行うことがあります。効率面からも壁面にシャワーを用意することをお勧めします。また、シャワーとは別に、ホース接続可能な散水栓があると床の清掃に便利です。

  • 5 棚の設置場所と機能

    移動の妨げにならない場所に棚を設置します。手すりを設置する場合は、利用者の動きとスペースを考慮しましょう。

  • 6 洗面台(手洗い)

    洗面(手洗い)は、入浴者の顔を拭くタオルをすすいだり、入浴終了後の手洗いに必要です。立位や車椅子でのアプローチにも配慮しましょう。ご利用者に合わせて高さを調節できる昇降式もお勧めです。

  • 7 汚物流し・トイレ

    汚物流しやトイレを設ける場合も、利用シーンを想定して、動線とスペースを考慮しましょう。

安全性を考えた床

  • 8 滑りにくい素材を

    床材は滑りにくい材質を検討しましょう。現在はソフトなシートタイプが多くなってきました。キャスターも走行しやすく、タイルと比べて張替えが楽に行えます。

  • 9 床勾配はゆるやか

    ストレッチャーや車椅子で入浴者を移動させるため、介護負担・安全性を考慮して、床勾配はゆるやかに。また、入浴装置のストレッチャーや車椅子は、基本的にスロープの勾配に未対応です。

  • 10 段差をなくす

    ストレッチャー上の入浴者にとっては、わずか数ミリ程度の段差でも通過の際、身体(特に頭部)に衝撃を受けることになります。

まとめ

入浴装置を導入する浴室を作る際は、まず介助や移乗スペースをイメージすることが大切です。そして空調設備や換気、棚や汚物流しの位置、安全性を考えた床など、一つ一つポイントを押さえましょう。
当コンテンツでは入浴装置全ジャンル共通の項目を紹介しましたが、仰臥位入浴(ストレチャータイプ)、座位入浴(車椅子タイプ)、ADL入浴(個浴タイプ)で必要スペース等は異なります。詳細は弊社までお気軽にご相談ください。