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評価 (2)知覚検査

SA受容器の検査

知覚検査の目的は、知覚障害のおきている部位や範囲を評価し、回復の過程や手指機能の実用性・知覚再教育の適否を評価するためにおこないます。 知覚には防御知覚(痛覚・温度覚)と識別知覚(触覚・振動覚)があり、ここでは識別知覚の検査方法について詳しく紹介します。
識別知覚の受容器は、物を持続的に把持する機能に必要な順応の遅いSA受容器(slowly adapting mechanoreceptor)と材質の識別や巧緻動作機能に必要な順応の早いQA受容器(quickly adapting mechanoreceptor)があり、それぞれ閾値と密度を検査する方法があります。

静的触覚検査 (閾値)
・絞扼性神経障害など末梢神経障害では、闘値を調べて結果をマッピングすることで、神経損傷レベルや程度を把握できます。
・三叉神経ニューロパチーの感覚障害では、極限法(段階法)で触覚閾値を把握します。
・早期より神経の変化を捉えることができます。

【セメスワインスタインモノフィラメント ( Semmes - Weinstein Monofilaments ) を使ったテスト方法】

●皮膚の2.5cmの高さから検査部位に1.5秒かけて垂直に降ろし1.5秒かけてフィラメントがたわむまで行い、1.5秒かけてもとの位置に戻します。
末梢から中枢へ、細いフィラメントから太いフィラメントへと移行して下さい。

●太さの異なるフィラメントで刺激して、感じることのできた番号に応じて、指定された色(緑:触覚正常、青:触覚低下、 紫:防御知覚低下、赤:防御知覚脱失、 赤・黒斜線:測定不能)でマッピングします。

静的触覚検査 (分布密度)

・二点識別の値が小さい程、回復した受容器と神経線維の単位が多いといえます。
・時計を巻くためには6㎜、精密機器を持つためには12㎜、一般的な器具を握るためには15㎜の2点識別が必要といわれています。

  • 【ディスク・クリミネーター(2点識別計)を用いたテスト方法】
    ●ディスク・クリミネーターを指の長軸と
    平行に指腹におきます。約3秒間、5㎜程度から開始し、1点あるいは2点を皮膚蒼白部(blanch)を作らない程度の圧で指腹に押し当てます。
    ●アメリカ手の外科協会が規定したガイドラインでは、7回のうち4回を正確に答えればよしとします。反応が正確でない場合には2点の間隔を広げていきます。

QA受容器の検査

動的触覚検査 (閾値)
・30Hzは粗振動感覚の受容器であるマイスナー小体の闘値を、256Hzは振動感覚の受容器であるパチニ小体の闘値を検査します。絞扼性神経障害などの早期診断に有効です。

【チューニングフォーク(音叉)を用いたテスト方法】

  • ●チューニングフォークを振動させ、検査部位に柄を軽くあてます

  • ●振動を感じない場合は、二股にわかれた先端をあてます。

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センソリーリハビリテーションのスタンダードテスト

セメスワインスタインモノフィラメント ( Semmes - Weinstein Monofilaments )

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精密知覚機能検査の必須品

精密知覚機能検査を行うために必要な検査器具です。
ペンタイプで携帯しやすく、フィラメントが折れないように内部に収納できます。
収納ケースもコンパクトで、ベッドサイドへの持ち込みにも便利です。

知覚検査のスタンダード評価法

末梢神経断絶や縫合神経断絶、 絞扼性神経障害など末梢神経障害では、閾値を調べて結果をマッピングすることで、神経損傷レベルや程度を把握できます。

糖尿病による感覚障害の検査に

足用6本セットは、糖尿病等による感覚障害の診断基準の目安とされています。
基準となる5.07フィラメントは、フィラメント部分が赤く色づけされています。

精密知覚機能検査(280点)の算定要件概略

●対象:末梢神経断絶、縫合神経断絶又は 絞扼性神経障害
●検査者:日本ハンドセラピィ学会が行うSWT講習会受講者
●器具:医療機器のセメスワインスタインモノフェラメントセット
●その他:「SWTによる静的触覚の評価マニュアル」を遵守のこと