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関節可動域表示ならびに測定法の改訂

(1)関節可動域表示ならびに測定法改訂(2022年4月)

2022年4月に関節可動域表示ならびに測定法が改訂されました。これは1995年以来27年ぶりの改訂となります。

今回改訂された大きな理由としては、「内がえし(inversion)/外がえし(eversion)」および「回外(supination)/回内(pronation)」について、国際的な定義と異なっていたために混乱を生じさせていたことが挙げられます。

具体的には、日本国内で用いられていた測定法では「内がえし(inversion)/外がえし(eversion)」を3平面での複合運動、「回外(supination)/回内(pronation)」を前額面での運動としておりましたが、国際的、特に英語論文では「内がえし(inversion)/外がえし(eversion)」が前額面での運動、「回外(supination)/回内(pronation)」が3平面での複合運動とする方が主流となっていました。

そこで日本整形外科学会からの要請をきっかけとし、最終的には、日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会、日本足の外科学会の承認を得て改訂されました。

それでは具体的な改訂内容について見ていきましょう。

 

改訂内容①:足関節・足部における「外がえしと内がえし」および「回外と回内」の定義

〈足関節・足部における「外がえしと内がえし」および「回外と回内」の定義〉

外がえしと内がえし:足関節・足部に関する前額面の運動で、足底が外方を向く動きが外がえし、足底が内方を向く動きが内がえしである。

回外と回内:底屈・内転・内がえしからなる複合運動が回外、背屈・外転・外がえしからなる複合運動が回内である。母趾・趾に関しては、前額面における運動で、母趾・趾の軸を中心にして趾腹が内方を向く動きが回外、外方を向く動きが回内である。

 

これまでの定義と比較しますと以下のように改訂されたことになります。

・改訂前:回内   → 改訂後:外がえし
・改訂前:回外   → 改訂後:内がえし
・改訂前:内がえし → 改訂後:回外
・改訂前:外がえし → 改訂後:回内

改訂内容②:足関節・足部に関する矢状面の運動の用語

〈足関節・足部に関する矢状面の運動の用語〉

背屈と底屈:足背への動きを背屈、足底への動きを底屈とし、屈曲と伸展は使用しないこととする。ただし、母趾・趾に関しては、足底への動きが屈曲、足背への動きが伸展である。

これまでは足関節・足部について、背屈を伸展、底屈を屈曲と呼ぶことも可能でしたが、これらの呼び方が廃止されたということになります。

 

改訂内容③:足関節・足部の内転・外転運動の基本軸と移動軸

〈足関節・足部の内転・外転運動の基本軸と移動軸〉

基本軸:第2中足骨長軸とする。

 

これまでの定義と比較しますと、基本軸、移動軸ともに以下のように改訂されたことになります。

・改訂前:第1中足骨・第2中足骨の間の中央線 → 改訂後:第2中足骨長軸