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3. 痛みの伝導路

痛みは刺激の種類によって伝導神経線維が区別され,それぞれで異なる経路を通る.

1. 一次痛 (first pain)

侵害刺激を高閾値機械受容器で受容→Aδ線維(伝導速度12-30m/sec)→脊髄後角→外側脊髄視床路→視床後外腹側核→内包後脚→大脳皮質体性感覚野

2. 二次痛(second pain)

侵害刺激をポリモーダル受容器で受容→C線維(伝導速度0.5-2m/sec)→脊髄後角

→前脊髄視床路・脊髄網様体→視床髄板内核・視床下部→大脳(辺縁)皮質

 

一次痛は,侵害刺激が高閾値機械的受容体を介して感覚野や連合野という上位脳に伝わる生理的な感覚の痛みである.これに対して,二次痛は侵害刺激がポリモーダル受容体という未分化な受容体を介して,最終的に情動や感情を司る大脳辺縁系に伝わる.この二次痛を放置していると痛覚過敏状態を生じ,より情動的な痛み(不安を感じさせる,不快感を与える)として記憶される.過敏状態が生じるメカニズムは,侵害刺激がポリモーダル受容体において感知されるとサブスタンスPなどの神経ペプチドが分泌されて神経性炎症が起こり,この神経性炎症が再び侵害刺激を引き起こすという悪循環を生じ,痛覚過敏状態に至ると考えられている.