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1. 痛みの種類

1.痛みの種類

痛みの原因は,オーバーラップする部分も多いが,現在ではその原因によって大きく3分されている.

(1)侵害受容性疼痛

末梢の侵害受容器が,熱や機械刺激によって活性化されて生じる痛み.急性痛や炎症性疼痛と同様の機序とされる.プロスタグランジンやブラジキニンなどの発痛物質の発現を認め,この物質が末梢神経にある「侵害受容器」を刺激することで痛みを感じるため,「侵害受容性疼痛」と呼ばれる.原則として,器質的疾患によるものが多い.

(2)神経障害性疼痛

何らかの原因で,痛みの感覚を司る神経経路(中枢,脊髄,末梢神経)のどこかのレベルで傷つき,その神経が支配する領域に異常が生じることで痛みを感じると考えられている.神経障害性疼痛の原因や病態はまだはっきりと分かっていないため,神経障害性疼痛は一般的な鎮痛薬が効かないため慢性痛原因となる難治性の痛みとされてきた.

(3)心因性疼痛

身体の異常によるものでなく,心理的な原因に由来する.従来は,明らかな身体的原因がなく,その発生に心理社会的因子が関与している痛みを「心因性疼痛」した.しかし,いわゆる「心因性疼痛」の多くには心にのみ原因があるということではなく,社会生活で受けるストレスや日々抱えている不安といった多くの要因(生物学的,心理的,社会的,行動要因)が複雑に関与する可能性があるため,近年では中枢神経系に生じた可塑的変化や心理学的機序による歪みが生じた「(中枢)神経系の異常」として捉えられている.