Advance Sports & Rehabilitationアスリートの明日へ踏み出すチカラと、
それを支えるチカラ。
誰もが、知りたくなる。
それが、彼の魅力。
大谷翔平の17のコト。

プロ野球選手

大谷翔平

なぜ、そのような選択をしたのか。悩んだときは、どうするのか。どんな子どもだったのか。休日は何をしているのか。困難をどうやって乗り越えてきたのか。何にこだわって、何にこだわらないのか。どうして、そんなにすごいのか。
侍ジャパンのユニフォームに身を包み、昔の恩師とともに、記者会見に臨んだ日の朝、紺のニットというリラックスした出で立ちで我々の前に現れた彼は、野球とは関係のない不躾な質問に対しても、いつも通りの穏やかな口調で、一つひとつ丁寧に答えてくれた。
いつまでも尽きない、大谷翔平への興味。前に進み続ける男の、17のコト。

大谷翔平
写真=大野勲男・奥富義昭 インタビュー・文=石川遍 2023/01/06

技術的にも身体的にも
限界を感じたことはまだないです

Q1.今回、侍ジャパンに自ら参加意思を表明された理由を教えてください。

逆に、出ない理由が思い当たらなかったですね。小さい頃に代表チームが優勝したところも見てきましたし、僕らの世代の野球選手にとっては憧れというか、大きな目標の一つです。自分の場合は前回、出場できなかった悔しさもありますし、やっぱり出たいという気持ちが大きかったですね。

Q2.一緒にプレーするのを特に楽しみにしている選手はいますか?

ダルビッシュさんです。ファイターズでもちょうど入れ替わりで、まだ一緒にプレーしたことがないというのもありますが、僕が高校生だった頃に日本でトップだった選手。そこはやはり特別な思いがあります。

Q3.栗山監督との関係や、監督のもとで再びプレーすることへの思いを聞かせてください。

「教え子みたい」というのが一番近い感覚ですね。ビジネスライクなプロの世界で、栗山監督には育ててもらったという思いが強いので、一緒に優勝して良い思い出を作りたいと思っています。

Q4.読者にはトレーナーの方も多いのですが、大谷選手がトレーナーに求めるのはどんなことですか?

やっぱり徒手技術だと思います。といっても一回の施術における技術ということではなくて、いつも身体に触れていることで変化に気づく力というのかな。僕は物療機器もよく使いますが、そういうことはまだ機械には難しいと思うので、トレーナーの方たちには本当に助けられています。

Q5.仲間の存在を有り難いと感じるのはどんなときですか?

仲間ですか…。今のチームメイトが仲間かというとまたちょっと違う気がするので、そうだなあ、思い出すのは高校時代の寮生活ですね。あの頃は試合でも、自分の活躍とかは関係なくてチームが勝ちさえすればそれでよかったので、特別な時間だったと思います。

Q6.野球で行き詰まりを感じるのはどんなときですか?
対処法もあれば教えてください。

行き詰まりというのが、「解決策がこれ以上ない状態」のことだとしたら、僕はこれまで行き詰まりを感じたことは一度もないですね。技術的にも身体的にも限界を感じたことはないです。子どものときも、自分より身体が大きい選手や、野球がうまい選手はたくさんいましたが、自分にやれることはいくらでもあるし、それをちゃんとやればいつかは越えられると思っていました。負けているのは今だけだって。その考えは今もあまり変わっていません。

Q7. 岩手県の名物を教えてください。

一番のオススメは岩泉ヨーグルトです。
本当に美味しくて、僕は世界一だと思っています。

治るケガであるのなら必ずまた上のレベルで戦える。
だから少しぐらいの後退はそんなに気にしなくてもいい。

Q8.今、ケガで苦しんでいる若いアスリートたちにアドバイスをお願いします。

ケガの度合いによるとは思いますが、手術という選択肢も含め、それがもし治るケガだったとしたら問題はないと思います。僕も何度もケガをして手術もしてきましたが、今もこうやって高いレベルで野球をすることができているので、少しくらいの停滞や後退はあまり気にしないでください。うまい子ほど、身体の出力が高く、ケガをしやすいこともありますしね。

Q9.今までで、一番痛かった経験を教えてください。

2017年のシーズンに、右足首を負傷してしまって、どうせ動けないからと、軽い気持ちで親知らずを抜きにいったんですが、ケガや手術なんかよりよほど痛かったです。同じ年に左太ももの肉離れとインフルエンザを同時にやっちゃったときも相当キツかったけれど…。やっぱり痛さは、親知らずが一番ですね。

Q10.子どものグローブが型崩れした場合、手入れは親がやってあげるのがいいのでしょうか?

好きな型は自分でしかわからないので、子どもでもできたら自分でやるのがいいと思います。僕は小学3年生の時に初めて自分のグローブを買ってもらいましたが、そのときから自分でオイルも塗っていました。

Q11.人生で一番緊張した出来事は何ですか?

小学校の時のリコーダーのテストです。野球だったら失敗しても次があると思えるんですけどね(笑)

Q12.これまでで一番、失敗したなと思うことはなんですか?

強いて言えば、ケガをした瞬間ですね。物療機器を活用するなどして、ある程度予防もできることなので。ただ、ケガをしたことで初めてわかることも多いから、単純にケガ=失敗とも思わないです。

Q13.大谷選手のノーステップ打法に憧れているお子さんも多いようですが…

僕自身、メジャーレベルの速球や鋭い変化球に対応するために苦肉の策で取り入れたことなので、正直、身体ができていないうちは、おすすめしません。

Q14.爪の手入れですが、何か気をつけていることはありますか?

シーズン中はヤスリで整えて、そこから1日空けて登板という風に決めています。だから、中5日でも中6日でも間隔には関係なく、登板の2日前に必ず手入れをするようにしています。

フィジオ5Dの刺激を僕の言葉で表現すると、
いろんな方向から複雑なうねりがくる感じかな

Q15.大谷選手が考える「よいリハビリテーション」とはどのようなものでしょうか?

難しい質問ですね。僕も膝、足首、肘と、いろいろな手術をしてきましたが、再発は避けたいという気持ちがブレーキになって本来かけるべき負荷をかけられず、望むような効果を得られなかった経験が何度かあります。そんなとき安心してもう一歩踏み込むためには何が必要か。僕が大事にしているのは、先人たちの経験が蓄積されたデータと、それに基づくリハビリテーション計画です。ただそうはいっても、回復度合いやリハビリテーションに当てられる時間は一人ひとり異なるので、何でもデータに従えばいいわけではありません。実際、リハビリテーションは奥が深い。自分の身体ですら、前回と同じようにやったのにうまくいかないと思うことはよくあります。まずはデータを効果的に活用し、その上で自分の感覚も疎かにしないというところから意識してみてはどうでしょうか。

Q16.物理療法の効果をもっとも感じるのはどんな場面ですか?

普段、リカバリーの一環で使用しているときは、目を見張るような効果があるわけではなく、坦々と使っていますが、急性期に使用したときなどはその効果に驚かされることも多いです。昨年、もっとも効果を実感したのは、ベンチプレスをしていて首に痛みが出てしまったとき。ハイボルテージ電流治療器で刺激を与えたところ翌日にはすっかり違和感がなくなり、とても助かりました。

フィジオ5Dを今後はどんな場面で使っていきたいと思われましたか?

急性期も活躍してくれそうですが、やはり基本はリカバリーですね。登板間に、腕や肩の疲労を回復させるために使うことが多くなると思います。たぶん毎日、使うことになるんじゃないかな。

フィジオ5Dの使用感を教えてください

肘も腕も肩も試しましたけど、基本的に装着や操作が簡単なところが気に入りました。よく使用するメニューをセットしておけるのもいいですね。リカバリーで使用する物療機器は特に、使うのが面倒だと思ったらなかなか続かないのですが、5Dであれば、漫画を読みながらとか横になりながらでも使用できるので良い効果が得られると思います。

 

Q17.最後に、大谷選手の「道具」に対するこだわりを教えてください。

今はバットもグローブも、既製品ではなく、自分用にお願いして作ってもらったものを使っているので、それぞれのプロフェッショナルの方にお任せしています。もちろん、子どもの頃はそうではなかったので、自分が一番振りやすいバット、手に馴染むグローブを選ぶように心がけていました。親御さんがアドバイスしてあげるのもいいですが、大人と子どもでは体格も力も違うので、まずは本人が手にした際の感覚を大事にするのがいいと思います。それを繰り返しているうちに、自然と「自分に合った道具」を見つけるコツが身についていくはずです。ただこれはあくまでも理想で、特に子どもの場合だと、長く大事に使い続けるのも良いことです。少しくらい、長かったり重かったりするのはまったく問題ないので、まずは道具を大切に扱うことを教えてあげてください。

プロ野球選手

大谷翔平

(おおたにしょうへい)

1994年7月5日生まれ
身長:193cm 右投左打
投打の二刀流という常人離れしたプレースタイルを貫き、2018年には新人王を獲得。
2021年シーズンには、日本人2人目となるシーズンMVPとシルバースラッガー賞を受賞。
2022年には、約104年ぶりとなる二桁勝利・二桁本塁打を達成した。
花巻東高-北海道日本ハムファイターズ-ロサンゼルス・エンゼルス
※2023年3月現在

大谷翔平 使用製品